厚生年金の障害者特例について
こんにちは、社労士の伊藤です。
今回はお電話でお問い合わせがあった、厚生年金の障害者特例についてご説明いたします。
特別支給の老齢厚生年金は、「定額部分」と「報酬比例部分」からなり、以前は60歳から両方とも受けることが出来ました。しかし、平成6年の法改正により、定額部分の支給開始年齢が60歳から64歳に段階的に引き上げられました。
また、平成12年の法改正により、報酬比例部分の支給開始年齢も60歳から64歳に段階的にと引き上げられ、60歳代前半に受け取られる年金が少なくなる、あるいは全く受けられなくなる期間が生じてしまうことになっています。
そのような中、以下の条件を全て満たした場合に、請求した月の翌月から65歳前まで〔老齢厚生年金の報酬比例部分+厚生年金加入期間に応じた定額部分+配偶者加給年金〕が支給されます。
請求月の翌月から支給ですから、該当する可能性がある場合はなるべく早く請求する必要があります。
受給の条件
1.特別支給の老齢厚生年金の受給権があること。
※特別支給の老齢厚生年金の受給の条件
① 男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれ
② 60歳以上であること。
③ 1年以上の厚生年金加入期間があること。
④ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること。
2.障害厚生年金3級以上の障害状態であること。
※障害年金3級以上を受給しているなど既に障害年金以上3級と認定されている方は障害年金用診断書の提出は不要ですが、受給権を得ていない場合など障害年金3級以上を受給していない方は障害年金用診断書の提出が必要です。
3.厚生年金に加入していないこと。
留意点
障害厚生年金や障害基礎年金などの障害年金と比較すると、65歳前から受けられる、老齢厚生年金の「障害者特例」の方が、一見、金額が高いことがあります。しかし、ここで注意しなければならないことがあります。「障害者特例」であっても、老齢年金の特例です。
「障害者特例」を含む特別支給の老齢厚生年金は課税対象であり、障害年金は非課税です。障害厚生年金を受けていた方が、額面上は高い「障害者特例」の老齢厚生年金を選択した場合、翌年の住民税と国民健康保険料の金額が上がっていて驚くことがあります。
老齢年金の「障害者特例」と障害年金の額面上だけの比較ではなく、翌年からかかる住民税と国民健康保険料の見込額も役所で試算してもらい、最終的な手取り額を確認するよう、慎重に選択された方が良いでしょう。
詳しくは当センターにご相談ください。
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