うつ病等の病気やケガで働けくなった時の“傷病手当金”
こんにちは、社会保険労務士の伊藤です。
うつ病等の病気やケガで働けなくなり、会社を休むことになった時、“傷病手当金”がもらえる可能性があるのをご存じでしょうか?
うつ病などの精神疾患で医療機関にかかっている方は、ここ最近大幅に増加しています。
精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、厚生労働省の調査によれば、320万人を超えているとのこと(平成23年)。内訳としては、多いものから、うつ病、統合失調症、不安障害、認知症などとなっており、 近年においては、うつ病や認知症などの著しい増加がみられます。
『メンタル』の不調は誰にでも起こりえることで、生活の保障としての傷病手当金制度を知っておくことは、けっして損にはならないことでしょう。
☆支給される条件
①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
②仕事に就くことができないこと
③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
④休業した期間について給与の支払いがないこと
☆支給される期間
傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヶ月です。
これは、1年6ヶ月分支給されるということではなく、1年6ヶ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も1年6ヶ月に参入されます。
支給開始後1年6ヶ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。
☆支給される傷病手当金の額
傷病手当金は、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。
標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。
給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。
☆退職後の期間の傷病手当金についてはどうでしょうか?
次の2点を満たしている場合に退職後も引き続き残りの期間について傷病手当金を受けることができます。
①被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
②資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
(なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金は支払われないので、注意が必要です。)
☆傷病手当金が支給停止(支給調整)される場合
①傷病手当金と出産手当金が受けられるとき
②資格喪失後に老齢(退職)年金が受けられるとき
③障害年金または障害手当金が受けられるとき
④労災保険の休業補償給付が受けられるとき
まとめ
ご相談者様それぞれの状況によって、最適な受給年金(手当)が異なります。まずは専門家にご相談下さい。
次回のコラムでは「障害年金と傷病手当金の支給調整」についてお伝えいたします。お楽しみに。
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