障害年金と傷病手当金の支給調整
こんにちは、社会保険労務士の伊藤です。
いつもコラムをご覧下さりありがとうございます。
今回は、障害年金と傷病手当金の支給調整についてご説明いたします。
障害年金は、原因傷病が同一の場合は、健康保険から支給される傷病手当金と同時に受給することはできません。
しかし、障害年金の額が傷病手当金の額より少ないときは、差額を受給することができます。
傷病手当金(日額) > 障害厚生年金(日額)+障害基礎年金(日額) ⇒差額を支給
傷病手当金(日額) ≦ 障害厚生年金(日額)+障害基礎年金(日額)⇒支給されません
※既に障害基礎年金だけもらっていた人が厚生年金の適用事業所に入社し、その後、障害基礎年金の傷病が増悪し、傷病手当金も支給されたようなケースの場合、障害基礎年金は支給調整されません。
では、傷病手当金受給中の障害年金請求のメリットはあるのでしょうか?
傷病手当金受給中の障害年金請求のメリット
傷病手当金と障害年金の金額を比較すると傷病手当金が高額であることが多いため、傷病手当金を受給している方が、障害年金を請求し、受給できても、その額を傷病手当金から差し引かれため実質的に合計手取り額は当初の傷病手当金と同額で変わりません。
このような場合、傷病手当金の受給が終わる1年6ヶ月を待って障害年金を請求しようとお考えの方がいらっしゃるかと思いますが、傷病手当金の受給中に障害年金の手続きを進められることをお勧めします。
どうして傷病手当金の受給中に障害年金の手続きを進めるのがいいの?
理由は大きくわけて3つあります。
①医療機関のカルテは5年保存が義務のため、廃棄される可能性があり、初診日証明が難しくなります
②傷病手当金を受給できても、障害年金を受給できるとは限らないため、障害年金を請求して受給できないとわかっていれば対処する方法や心の準備もできます。
③障害年金の請求は手続きに時間が掛かり、請求後も決定までに長い時間が掛かかります。
実際の受給・入金開始までに6ヶ月以上要することもあり、傷病手当金の受給期限が終了するのに合わせて手続きを開始しても、長期間の空白ができる可能性があります。
※傷病手当金の受給期間満了後は他の方法で生活を成り立たせる必要があり、その選択肢の一つが障害年金ということになります。
最後に
障害年金は収入に空白ができないタイミングで、傷病手当金が残っているうちに請求するのが理想です。
初診日の関係から請求可能な場合は、傷病手当金を受給して1年までには障害年金の請求準備を開始することをお勧めします。
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